エールステッドは [デンマーク・物理学者・人物]

デンマークの物理学者、化学者。

ラングランド島で薬剤師の長男として生まれる。

1794年コペンハーゲン大学に入学、薬学を学んで97年に卒業。

1801年から、ボルタによる電池の発明に沸くヨーロッパ各地に遊学、04年に帰国して、06年コペンハーゲン大学の員外教授、17年に正教授となった。

大学生のころからカント哲学に傾倒し、カント哲学を普及するための雑誌の編集に参画、学位も、自然哲学に対するカント哲学の意義を論じた論文で取得した。

多様な自然を「力」という概念で統一的にとらえようとするカント哲学の一面は、F・W・J・シェリングに代表されるドイツ自然哲学に継承されたが、エールステッドは、シェリングの自然哲学に傾倒していた化学者J・W・リッターやウィンタールJ. J. Winterlの思弁的性格の濃い研究業績を高く評価していた。

しかし遊学からコペンハーゲンに戻るころには、実験や観察の重要性も理解するようになり、1812年までにはウィンタールやリッターの学説を放棄してしまった。

しかし、自然界のさまざまな「力」の間に統一があるという観念への確信だけは揺るがなかった。

彼が電流と磁気の関連を追究し、19~20年に、導線中を流れる電流が近くの磁針を振らせる現象を発見した背景には、こうした観念があったのである。

この発見を機に、アンペール、ビオ、ラプラスらが電気力学を発展させた。

エールステッドはこのほかに、気体・液体の圧縮性や反磁性について研究し、またコショウからピペリンを単離したり、不純ながらもアルミニウムを分離することに成功した。

さらに、科学振興協会を創設したり、コペンハーゲンに工科大学を設立することによって、デンマークの科学研究の水準を高めることにも貢献した。

童話作家アンデルセンをさまざまな面で支援したことも、彼の功績の一つである。

磁界の強さの単位エルステッドは彼の名にちなむ。
update:2010年03月18日